FRBパウエルのQ&A その内容と市場に与える影響について
2021年3月5日
日本時間の深夜(アメリカ東海岸時間正午)からウォールストリートジャーナルのカンファレンスでパウエル議長が30分のQ&Aをしました。
その内容とどういう意味なのか、その発言が市場に与える影響について解説したいと思います。
とその前にFRBについておさらいしましょう。
FRBは、日本における日銀と同じアメリカの中央銀行制度、の最高意思決定機関。
日本語で「連邦準備理事会」とも呼ばれます。
FRBは、7名の理事から構成されています。
FRBが開く金融政策の最高意思決定機関に連邦公開市場委員会(FOMC)があり、FRBの理事7名や地区ごとの連邦準備銀行総裁5名で構成されていて、アメリカの金融政策やFFレートの金利誘導目標を決定しています。
つまりFRBとは米国の金融を司る機関で、その議長がパウエルさんなわけです。
内容
失業率4%でも完全雇用とは言わない。
今年中に雇用の最大化を実現できる可能性は極めて低い。
包括的な雇用市場の改善が見られなければ引き締めはしない➡金融緩和は続けます
具体的に、金利を上げるためには最大雇用の実現と2%以上のインフレが必要
一過性のインフレが起きても慌てて利上げしない
テーパリング(債券購入を控えること)を始める前にみんなに予めお知らせする➡利上げする前にちゃんと言うから安心して
経済に過熱感はない➡別に何も政策は打たないよ
60年代と70年代に起きたインフレの間違いは繰り返さない。
まとめると
今のインフレ期待主導による金利の上昇に過熱感はなく、特に今は行動しません。
といった感じでした。
その発言を受けて、長期金利は1.55%の金利高になりました。そのせいで市場全体は(NYダウ-1.11% ナスダック-2.11%)と大きく売られる結果となりました。
今後の展開予想
私個人の感想としては、パウエルさの発言に何も疑問は感じませんでした。
金融緩和をやめないのであればまだまだ金融相場は続き、株式にとって良い環境は続きます。
投資家が恐れていたのは金融緩和を取りやめ、政策金利を上げられることなので、何の問題もないと思います。
さらに言えば今回の株価の下落の要因は、金利の上昇です。
ではなぜ、金利が上昇したのかと言うとパウエルさんの発言にがっかりした。というのも一つの理由だと思いますが、もう一つの理由として考えられるのが
それは「銀行会計のSLR計算から、財務省証券を除外する現行臨時措置の期限延長」に対して何の発言もなかったから。
銀行会計のSLR計算から、財務省証券を除外する現行臨時措置の期限延長について解説
財務省証券の入札はメガバンクがほとんど➡しかし、今はメガバンクが動きにくい➡メガバンクが財務省証券を買えない➡大口の買いがなくなるから金利は上昇
なぜ、メガバンクが動きにくいのかというとメガバンクが債権をごっそり買うことを「見て見ぬふりをする」会計上の特例(SLR)が今月末で期限切れになるから。
さらに、4大メガバンクの一行、ウェルズファーゴが架空口座問題の責任を取らされ、総資産を増やせない、つまり、何も買えない状態にある。
まとめると、4行のうちの1行が完全に停止して、残り3行も動きづらい状態にある。
これが金利上昇の諸悪の根源!!
この問題に対してFRBが何も話さなかったから、金利が上昇しているのでは??
株価が下がる理由、金利が上がる理由なんてものは1つではありません。様々な要因が複雑に絡み合って、現在の市場は成り立っています。
一つの要因に固執するのではなく、広い視野で、今後の展望を考えてください。
最後に、昨日もツイートしましたが、今は完全に買い時だと思います。
しかし、焦ってはいけません。
今日雇用統計が発表され、金利がどう動くのか確認してから買いに入ってもなにも遅くはありませんから。
「買いはゆっくり、売りは素早く」ですよ。これ忘れないで!!
それではまたきま~す。